「一体、どういう神経をしてるのかしら!?自分たちの家族を買い取れなんて！！」

【店長】は【代理】が運転するＳＵＶの助手席でまだ怒っている。

「しかも、あの孫たちときたら、自分たちのお祖父ちゃんをスマホ動画で撮影してたのよ!?信じられる!?久慈さん！ 」

久慈さんと呼ばれた【代理】はハンドルを手に静かに頷いた。

「家族の情がかなり薄いようでしたね……。数百年続く地主の家柄でしたが、立派なのは家と庭の器だけで中身の家族は虚ろでした。

ただ、あの武器を刀と見誤ったのは仕方ないかもしれません。塩水に浸した紙を乾燥させると、木刀並みの硬度になることを知っている人は稀ですから」

久慈は前を向いたまま淡々と話す。