邂逅編全体の粗筋です。
※次回続編を読むとき便利です。
 
 養護教諭の光元(みつもと)灯子(とうこ)は、赴任したばかりの高校で異形の少女ケライノォに襲われる。そんな灯子を救ったのは、ある日学校から忽然と姿を消し行方不明となった男子生徒、冴紀(さえき)埜途(のと)だった。埜途は灯子を凝視し「何で、あんたが」と呟いて気絶してしまう。
 騒ぎから帰途に就く灯子を再びケライノォが襲来する。ケライノォに追い詰められた灯子の前、またも埜途が現れケライノォを退ける。ケライノォから異様な殺意を向けられ困惑したままの灯子に、埜途が言う。「俺はあんたを殺した」「だから、今度は守る」と。
 詳しい事情を聴くため、退院し復学した埜途を待っていた灯子。埜途から、埜途は異世界の戦争に巻き込まれたこと、互いに勇者として召喚された灯子とは異世界で会っていたことを聞かされる。何ら覚えも無い灯子が、埜途に質せば、向こうで出会った灯子は今の灯子ではなく未来の灯子ではないかと言われる。
 信じられない灯子はますます混乱するのだが、そこへ灯子の家族であるあかりがいなくなったと報せが入る。一方、埜途による強制送還で元の異世界に戻されたケライノォは、自らの記憶と世界での出来事が一致せず、更に勇者のトーコ(灯子)が来ていないことを知り、自身が会ったのは過去の灯子で世界間には時空に歪みが在ることに気付く。すべてを察したケライノォは灯子を再度迎えに行くため世界を越える。
 あかりを捜す灯子と埜途は、捜す過程で異世界と繋がる状況と隣町の山の関係性に考えが及ぶ。が、居場所を突き止めるべくあかりの気配を探った埜途が、あかりが何者かに追われまさに隣山の中を逃げていることを察知。灯子の所在を知りたいケライノォたちに追い回されていたあかりと合流し、ケライノォを批難するも、埜途から戦況を聞いていた灯子はケライノォに些か同情の念を抱いていた。しかしあかりの涙ながらの問いと、埜途に「一等たいせつなものを選べ」と言われケライノォからの要請を断りあとのことを埜途に託して山を下山する。片付けた埜途へあかりを助けてくれたことの礼を述べた灯子は、あかりを選んだことに悔いは無い反面、この先を案じていた。