「海・・・・ちゃん?」

いつものチャームポイントであるツインテールを揺らす海ちゃん。
目の前の女の子は私の『友達』の川下海ちゃん。

そんな海ちゃんに『話の続き』を聞こうとしたけど・・・・・。

突然私の前に、大きな体の男の子が立ち塞がる。
怖い顔で私を見下ろしている『友達』の高林孝太くん。
「おい空。テメェ、よくも爪楊枝で刺して来やがったな。あれ、マジで痛かったんだぞ」

爪楊枝。

そういえば私、二人に助けられたんだっけ。
でも私、それを拒んで二人の手に爪楊枝を刺したんだっけ。

・・・・・・。

あはは・・・・、二人に会わせる顔がないよ・・・・。

「ご、ごめんなさい。って孝太くん?」

怒っていたはずの高林孝太(タカバヤシ コウタ)くん。
でも孝太くんは私の様子にホッとした表情を見せると、彼は笑ってくれた。

どこまでも優しい孝太くん。
そして海ちゃん。
そんな二人に、私同様に驚いている燐ちゃんが問い掛ける。

「先に海の家に行ったんじゃないの?」

海ちゃんが答える。

「うん?りんりんが空ちゃんにどんな言葉を掛けるのか気になったから、影でずっと見ていた。まあ、空ちゃんが目を覚ますのは想定外だったけど」

「おいこら、どさくさに紛れてりんりんって言うなこら」

「いいじゃんパンダみたいで」

「パンダみたいだから嫌なの!このタコ星人め」

「誰がタコ星人よ!ってか、たこ焼きは好きだけどタコ言うな!タコってなんかぬるぬるしていて気持ち悪いし」

「それ、自分のことじゃねぇのか?」

「パンダぶっ殺す」

「誰がパンダだこら!」

・・・・・・。

えっと、なんでまた燐ちゃんと海ちゃんは喧嘩しているの?

それも見たことのない言い争いだ。
まるで海ちゃんと孝太くんの夫婦喧嘩のような、仲良しにも見えるし。

え、どう言う事?

「もしかして、驚いているのか?」

きょとんとした顔を見せていた私だけど、そう言ってくれた孝太くんに問い掛ける。

「二人って、えっと」

最悪の関係。
私がそう言うのを分かっていたのか、孝太くんはすぐに答えてくれる。

「ん?ただの『友達』だよ。殴り合えるほど仲の良い『友達』」

「えっ?」

仲の良い『友達』?

・・・・・。

・・・・えっ?

待って、意味わかんないよ。