全体がミルク色をしていて上部に傘のようなものがあり、それを吊るすための金具も付いている。高さはおよそ20センチぐらいなので、大きさは500mlのペットボトルぐらい。
透明なガラスの中で灯る炎は穏やかで、淡いオレンジ色をしていた。
「私、このランプの炎が消えると死ぬ病気にかかっているの」
「……は?」
工房内に響く空調よりも大きな声で聞き返してしまった。
秘密なんて大袈裟に言っておきながら、どうせ大したことじゃないんだろうと思っていた。それなのに、茅森が打ち明けてきたことは想像よりも遥かに上をいき、理解もできなかった。
「頭、大丈夫?」
ランプの炎が消えると死ぬなんて、おとぎ話を読みすぎじゃないだろうか。
どうせ俺のことをからかって反応を楽しみたいだけに違いない。
「私が言ったこと、信じてない?」
「信じるもなにも、そんなことあるわけない」
「じゃあ、消してみる?」
茅森は冗談とは思えない強い瞳をしていた。その気迫に押されて、俺はゴクリと息を飲む。
工房の天井には蛍光灯が四本付いていて、明るさは十分にあるはずなのに、なぜか彼女が持っているランプの炎がやけに色濃く見えた。
直視していると吸い込まれてしまいそうなほど、妖艶に揺らめいている。