教室の後ろの出入り口のすぐ脇に、掃除用具入れのロッカーはある。扉の開け閉めでどうしても音は立ってしまう。それでもなるべく静かに開けようと僕は努めた。
けれど、人の気配を感じたのか、井原さんはぱっと後ろを振り返った。
「おかえり」
どうしてそういうことをさらっと言えてしまうのか。ああ、だか、うん、だかまたよく分からない言葉をもそもそ呟きながら、ちりとりを所定の位置にしまう。
「場所わかった?」
「ああ…うん。ありがとう」
「良かった。ちょっと不安だったから、ちゃんと新しいの持ってくるか、待ってたの」
「えっ…ああ…それは、どうも」
「『はじめてのおつかい』ってテレビであるでしょ。あの番組で、子どもを送り出した時の親の気持ちってこんな感じなのかなー」
ぽんぽん飛んでくる言葉が、僕にとってはどれも変化球のように感じる。投げられた球はちゃんと返さなきゃ、そう思いはするものの、初心者の僕にはやっぱりレベルが高い。
そうこう考えているうちに、井原さんはまた委員長の顔に戻って「ちりとり、しまう前にクラス名書いて。あと点検表ね。扉の裏に引っかけてあるのは知ってるよね」と指摘した。
けれど、人の気配を感じたのか、井原さんはぱっと後ろを振り返った。
「おかえり」
どうしてそういうことをさらっと言えてしまうのか。ああ、だか、うん、だかまたよく分からない言葉をもそもそ呟きながら、ちりとりを所定の位置にしまう。
「場所わかった?」
「ああ…うん。ありがとう」
「良かった。ちょっと不安だったから、ちゃんと新しいの持ってくるか、待ってたの」
「えっ…ああ…それは、どうも」
「『はじめてのおつかい』ってテレビであるでしょ。あの番組で、子どもを送り出した時の親の気持ちってこんな感じなのかなー」
ぽんぽん飛んでくる言葉が、僕にとってはどれも変化球のように感じる。投げられた球はちゃんと返さなきゃ、そう思いはするものの、初心者の僕にはやっぱりレベルが高い。
そうこう考えているうちに、井原さんはまた委員長の顔に戻って「ちりとり、しまう前にクラス名書いて。あと点検表ね。扉の裏に引っかけてあるのは知ってるよね」と指摘した。