契約社員の試験のひとつにSPI試験があり、奈々は祐吾に泣きついていた。

「まさかSPIがあるなんて。どうしよう、全然わからない。」

SPI試験対策の参考書を開いて頭を抱える。
SPIなんて、就活のとき以来だ。
新しく参考書を買ってみたものの、現役を離れて早五年。
奈々の頭が拒否反応を示した。

「国語と数学だろ。余裕だな。」

「祐吾さんとは頭の出来が違うのよ~。」

パラパラと参考書をめくり、祐吾が面白そうに言う。
それを奈々は恨めしそうに睨んだ。

「こんなの要点さえ押さえとけばいいんだ。国語はまあ自力で覚えろ。数学の分からないところは俺が教えてやるよ。」

楽しそうな祐吾に、奈々は唸りながらも

「ヨロシクオネガイシマス。」

と片言に呟いた。

SPI試験は、テストセンターという場所でインターネット上で行われる。
制限時間内に回答を選択していくものだ。

奈々は祐吾のアドバイス通り、参考書で勉強以外にインターネット上にある模擬試験をひたすら練習した。
そんな一生懸命な奈々を祐吾は優しく見守り、奈々は側にいてくれる祐吾に感謝した。