パンの焼けるいい香りがして、祐吾は本を閉じた。
この家にこんな香ばしい良い香りが漂う日がこようとは、誰が想像しただろうか。

「祐吾さん、焼けましたよ~。」

奈々がニコニコしながら、焼きたてパンをダイニングテーブルに並べた。

「昼食用にウインナーロールで、おやつ用にクリームパンと思って焼いたんだけど、焼きたてのクリームパンが超絶美味しいこと忘れてました。今すぐクリームパンを食べてほしいです。」

力説しながら祐吾にクリームパンを押し付ける。
勢いに負けて受け取ると、まだほかほかで熱かった。

一口かじるとパン生地からは湯気が立ち上ぼり、中のカスタードクリームも温かくてとろとろだ。

「美味いな。」

「でしょ!」

満面の笑みを称えながら、奈々もクリームパンを頬張る。
幸せそうに食べる奈々に、祐吾も思わず笑みがこぼれた。