二人の間に静寂が訪れると、倉瀬は奈々にそっと口付ける。
抵抗なくすっと受け入れられたことを実感すると、そのままベッドへ優しく押し倒した。
そっと奈々を見やると、潤んだ瞳が何か言いたげに揺れた。

「嫌か?」

「ううん。倉瀬さん…。」

倉瀬はまたひとつ、口付けをしてから言う。

「そろそろ名前で呼んでくれよ。」

「…祐吾さん。」

少しハニカミながら奈々が名前を呼ぶと、倉瀬は満足そうに目尻を下げた。
名前を呼ぶことすら遠慮していたのではと勘ぐったが、もうそんなことはどうでもよかった。
今、目の前の奈々が、ちゃんと名前で呼んでくれたのだから。

「祐吾さん好きです。好きすぎてどうにかなってしまいそう。」

「ああ。奈々、愛してる。」

二人は愛を囁きながら、次第にシーツの波にのまれていった。

重ねられた手はお互いの存在を確かめるかのように。
お互いの不安を消し去るように。

たくさんたくさんキスをして。
安心させるように優しくゆっくりと。

それはとても甘くて蕩けてしまいそうで。
何度も何度も深く愛し合った。