頭の中で反省しても何も始まらない。

「言ったら、きっと倉瀬さんは私を嫌いになっちゃう。」

「呆れることはあっても嫌いにはならないから、安心しろ。」

言われて、奈々は躊躇いがちに目を伏せたあと、意を決して告白した。

「私…倉瀬さんが付き合ってきた女性に嫉妬してるんです。」

「それは呆れるな。だが嫌いにはなっていない。」

倉瀬は奈々の目尻をそっと拭ってやった。

ああ、そうだった。
奈々はストレートに言わないと伝わらないヤツだった。
好きだと抱きしめてキスをするだけじゃ物足りないなら、何度でもしてやる。
お前が信用してくれるまで、何度だって言ってやるよ。

「俺もこれを言ったら奈々に嫌われるかもな。」

「…?」

「今までの女は全て遊びだ。誰一人本気になったヤツなんていないしちゃんと付き合ったこともない。もちろん家に上げたこともない。本気で好きになったのは奈々、お前だけだ。愛しすぎて大切にしたいと思った。だけど俺は奈々の全てがほしい。ダメか?」

倉瀬の真剣な眼差しと言葉に、奈々は動くことができなかった。