奈々はバスルームの横に設えられた大きな洗濯機に、感嘆の声をあげた。
一人暮らしのくせにとても大きくて高性能な、ドラム式乾燥機付き洗濯機だ。

「倉瀬さんもちゃんと洗濯するんだ。」

倉瀬が洗濯をするイメージが全然湧かず、奈々は驚きを隠せない。
だが、洗濯洗剤やハンガー、洗濯バサミが置いてあるのを見ると、自分でやっているのだろう。

“何でも勝手に使っていい”と言われたので、遠慮なく使わせてもらうことにした。

服を脱いで洗濯機に放り込む。
モードを洗濯乾燥に設定すると、出来上がり時間が【3時間】と表示された。

(3時間で乾燥までできちゃうんだ。最近の洗濯機ってすごい。)

スタートボタンを押そうとして、ハタと気付く。

(下着…どうしよう?)

当然、下着の替えはない。
途中寄ったコンビニでも歯ブラシしか買わなかった。
奈々は倉瀬に借りたバスローブを確認する。

結構な厚手で下着がなくても何とか大丈夫な気がする。
それに3時間我慢したら洗濯が出来上がるのだから、待てないことはないだろう。

奈々は意を決して下着も洗濯機へ入れ、スタートボタンを押した。