お腹いっぱい食べ大満足したのに、会計が五千円でお釣りが出たことに倉瀬がまた呆気に取られた顔をしていたので、奈々は可笑しくてまたクスクス笑った。

「ごちそうさまでした。」

ホワイトデーのリクエストだったので会計は倉瀬が出した。
奈々は店の外に出てから倉瀬にお礼を言うと、倉瀬は奈々の頭をくしゃくしゃっと撫でる。
それが何だか嬉しくてくすぐったくて、奈々は少し恥ずかしげに頬を染めた。

「確かに、服に臭いが付いたな。」

倉瀬が袖の臭いをクンクンと嗅ぐ。

「すごいでしょ。あとね、、、」

「?」

「息がニンニク臭になっちゃいます。あのタレ、ニンニクたっぷり使ってるみたいで。」

奈々は口に手をあてて、はぁーと息を確認した。
全身焼肉臭くなっているので、息が臭いのか服が臭いのか手が臭いのか、何が何だかわからない。

だからどこにも出掛けない休みの前日がいいと言ったのかと、倉瀬はようやく合点がいった。
ニンニク臭ではさすがに出歩けない。