「幸せそうだな。」

「ふふ。美味しいもの食べると幸せです。」

倉瀬も肉を摘まんで小皿に乗せる。
ここの肉は初めからすべて味付けがされているので、あえて別皿でタレはつけない。
焼けた肉をそのままパクリと口の中に入れると思った以上に柔らかく、何より味付けがすごく食欲を刺激する何とも美味しいものだった。

「美味いな。」

倉瀬が言うと、奈々は満面の笑みになって答える。

「でしょ!」

「ビールより白飯だな。」

「私もそう思う~。」

奈々は追加でごはん(小)を頼んで、倉瀬にも強制的に手渡した。

「倉瀬さん焦げてますよ。」

「え?ああ。」

ぼんやりしていると奈々がささっと手際よく倉瀬の小皿に肉を取りわけた。
甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる奈々が可愛らしく、倉瀬は見ているだけで気分がよくなった。

「倉瀬さん、自分でやる気ないです?」

訝しげな視線を向けられて、倉瀬は苦笑いだ。
奈々には倉瀬の魂胆などお見通しらしい。