奈々が倉瀬を連れて行った焼肉屋は大層古い作りの長屋で、黄ばんだ暖簾が掛かっていた。
昔ながらの換気扇からは煙がモクモク出ていて、周囲に美味しそうなにおいを放ちまくっている。
少し開いた窓からは、客たちの楽しげな笑い声が漏れていた。
暖簾をくぐると、更に煙とにおいが体を包んだ。
煙に至っては店内が少し白く煙っているほどだ。
あの昔ながらの小さな換気扇ではまるで換気が追いついていない。
「倉瀬さん、こういう庶民的なお店入ったことあります?」
「…ないな。」
少し呆気に取られている倉瀬を、奈々はちょっと心配そうに見ていたが、
「確かに、臭いは付きそうだし、カードは使えなさそうだ。」
倉瀬が真面目な顔をして言うので、奈々は可笑しくなってクスクスと笑った。
「実は私も過去に1回しか来たことなくて。でもその時食べたお肉がすっごくすっごく美味しくて忘れられなかったんです!だからもう一回食べたかったのと、倉瀬さんにも食べてほしかったので。」
「へぇ。」
「美味しいものは共有したいですよね。」
ガッツポーズをしながら倉瀬に満面の笑みを向ける奈々に、倉瀬は優しく目を細めた。
昔ながらの換気扇からは煙がモクモク出ていて、周囲に美味しそうなにおいを放ちまくっている。
少し開いた窓からは、客たちの楽しげな笑い声が漏れていた。
暖簾をくぐると、更に煙とにおいが体を包んだ。
煙に至っては店内が少し白く煙っているほどだ。
あの昔ながらの小さな換気扇ではまるで換気が追いついていない。
「倉瀬さん、こういう庶民的なお店入ったことあります?」
「…ないな。」
少し呆気に取られている倉瀬を、奈々はちょっと心配そうに見ていたが、
「確かに、臭いは付きそうだし、カードは使えなさそうだ。」
倉瀬が真面目な顔をして言うので、奈々は可笑しくなってクスクスと笑った。
「実は私も過去に1回しか来たことなくて。でもその時食べたお肉がすっごくすっごく美味しくて忘れられなかったんです!だからもう一回食べたかったのと、倉瀬さんにも食べてほしかったので。」
「へぇ。」
「美味しいものは共有したいですよね。」
ガッツポーズをしながら倉瀬に満面の笑みを向ける奈々に、倉瀬は優しく目を細めた。