何とか頑張って笑顔を作ったつもり。
いつもの自分を演じられたハズ。
この気持ちは、誰にも知られてはいけない。
そっと心の奥にしまっておくの。

奈々は、実は寝不足なのという理由をつけて先に自席へ戻り、デスクの上に突っ伏した。

どうしてチョコをあげようと考えてしまったんだろう。
どうして彼女がいないなんて思ってしまったんだろう。

優しくされたから?
キスされたから?
誤解されたくないって言われたのを、私は自分の良いように解釈してしまったんだ。
だから、こんなに胸が苦しい。

やっぱり私は、倉瀬さんを好きになったんだ。

自分の気持ちがはっきりしたと同時に失恋なんて、本当にどうしようもない。
可笑しくて、涙が止まらなかった。