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2月の最大のイベントといえばバレンタインデーだ。
奈々のいる課では、女性陣でお金を出し合ってチョコを買い男性陣に渡すのが慣例になっている。
もっとも、男女比率が違いすぎるためちょっといいチョコを大袋で買い一包ずつ配るだけだ。

それとは別に、今年の奈々はもうひとつチョコを準備していた。
小さいけれどしっかりとした箱に入って綺麗にラッピングされたバレンタイン用のチョコレート。
倉瀬に渡すために買ったものだ。

奈々は久しく特定の誰かにチョコをあげていなかったため、まさか自分がチョコをあげたいだなんて思う日がくるとは夢にも思わなかった。
チョコ売場で時間をかけて散々悩み、高すぎず安すぎずそれでいて迷惑にならない程度の物を選んだ。
こんなに悩んでドキドキしながら買ったチョコレートは、本当にいつぶりだろうか?

チョコは、渡す機会を伺いながら鞄の奥底に待機している。