カバンからICカードを取り出して駅の自動改札機に触れようとした瞬間、奈々は後ろから腕を引っ張られてバランスを崩した。
が、一瞬のうちに優しく支えられる。
恐る恐る振り向くと、そこには今一番会いたくなかった倉瀬が立っていた。
走ってきたのか、若干息が乱れている。
掴まれた腕、支えられた腰から倉瀬を嫌というほど感じで、じんじんと脈打つ。
「…放してください。」
早く放してくれないと胸の鼓動が伝わってドキドキしているのがバレてしまいそうで、奈々はもう片方の手で胸のあたりを押さえた。
ドキドキするなんておかしい。
そう思いつつも、感情とは裏腹に鼓動は早くなるばかりだ。
「何で逃げるんだ?」
「別に…逃げてなんか…。」
責めるように言われて、奈々は口ごもった。
違う、逃げたんじゃない。
倉瀬が追いかけて来ただけだ。
「…何で追いかけてくるんですか。」
キッと睨むように言うと、倉瀬は奈々を見つめた。
吸い込まれそうな綺麗な瞳。
思ったよりも長い睫毛。
通った鼻筋に綺麗な形の口。
近くで見ると本当に端正な顔立ちをしている倉瀬に、奈々の胸は高鳴る。
そんなことをチェックしてしまった自分に自己嫌悪になり、奈々は急いで目を逸らした。
が、一瞬のうちに優しく支えられる。
恐る恐る振り向くと、そこには今一番会いたくなかった倉瀬が立っていた。
走ってきたのか、若干息が乱れている。
掴まれた腕、支えられた腰から倉瀬を嫌というほど感じで、じんじんと脈打つ。
「…放してください。」
早く放してくれないと胸の鼓動が伝わってドキドキしているのがバレてしまいそうで、奈々はもう片方の手で胸のあたりを押さえた。
ドキドキするなんておかしい。
そう思いつつも、感情とは裏腹に鼓動は早くなるばかりだ。
「何で逃げるんだ?」
「別に…逃げてなんか…。」
責めるように言われて、奈々は口ごもった。
違う、逃げたんじゃない。
倉瀬が追いかけて来ただけだ。
「…何で追いかけてくるんですか。」
キッと睨むように言うと、倉瀬は奈々を見つめた。
吸い込まれそうな綺麗な瞳。
思ったよりも長い睫毛。
通った鼻筋に綺麗な形の口。
近くで見ると本当に端正な顔立ちをしている倉瀬に、奈々の胸は高鳴る。
そんなことをチェックしてしまった自分に自己嫌悪になり、奈々は急いで目を逸らした。