週が明けても症状は変わらなかった。
病院に行くほどではないけど、と思いながら、ふと生理がきていないことに気付く。

もしかして。
いや、まさか。
風邪を引いたことで遅れてるだけでしょ?

そう思いながらも、仕事帰りに薬局で妊娠検査薬を買った。
自宅でこっそり開封して、トイレへ駆け込む。
検査薬の判定時間は約1分だ。
それなのに、すぐにくっきりラインが現れた。

陽性反応だった。

奈々は早くなる鼓動を抑えられないでいた。
妊娠検査薬を持つ手が震える。
自室に駆け込むと、その場にへたれこんだ。

赤ちゃんができた。
私のお腹に?
本当に?
どうしよう。

そんなつもりではなかった。
だけど出来てしまった。
どうしたらいいの?
どうしたら…。

焦りの中にも嬉しい気持ちもある。

祐吾さんの子供を授かった。
大好きな人の子供。
それは何よりも尊い。

奈々はすぐには祐吾に言い出せなかった。
まだ検査薬で確認しただけだ。
ちゃんと病院で診てもらってからにしよう。

奈々はそっとお腹を触りながら自分を落ち着かせるため、大きく息をした。
見た目何も変わらないいつも通りの自分の体なのに、ここに赤ちゃんがいるなんて不思議な気持ちだった。