今年の冬はいつになく寒く、何度も雪が降る。
そのせいで交通網は乱れ、年始から大変な思いをしながら出勤している。

つい電話越しに祐吾に愚痴ったら、「まあ仕方ない、頑張れ」とさらりとかわされた。

「それより、お前鼻声か?」

「うん、お正月明けから風邪を引いたみたいで、なかなか治らないの。」

電話越しでも祐吾には何でもわかってしまう。
でも気付いてくれたこともまた嬉しく感じた。

「あったかくして寝ろよ。」

そう言って、電話は切れた。

体調が悪いわけではない。
ただ少し熱っぽくて、鼻がぐずぐずしている。
風邪は引き始めが肝心だ。
奈々は酷くならないようにと風邪薬を飲んでから寝た。