「あとさ、父さん」

『うん?』

「うちで時間あるときでいいから……先生のこと教えてもらえる? 私と父さんのために偽モノ役買ってくれたんだし、ちょっとは把握しておきたくて――」

『…………』

今度は返事すらなかった。

「在義父さん?」

『あ、ごめん。そうだね、ゆっくり時間あるときにね。流夜くんのことは、あまり短くはまとめられないから』

言って、『じゃあ、戸締りしっかりね』と重ねて、在義父さんは電話を切った。

「………?」

様子がいつもと違った。通話終了画面を見て、首を傾げる。

まー父さんとしても、自分や娘のごたごたに関係のない先生を巻き込む形になったことを悔いているのかもしれない。

「………」

自分や、娘。

「……かー……」

………本当に、先生には申し訳ない。