「雲居のつかい。昨日、神宮に書類届けてほしいって言われて」
「降渡? てめえで来ればいいだろうが」
「俺もそう言ったけど、今忙しいんだと」
ほれ、と、鞄に突っこんであった封書を取り出す遙音。
それを受け取り、適当に中身を眺める。
……吹雪のところへ行ったら報告だな、と意識の中で判を捺した。
「美味かったー」
綺麗に平らげられた弁当。二人でわける形になってしまったから、当然食べた量は少なくなったけど……まあ、たまにはこいつにも美味いものを食べさせてやっていいだろう。華取に感謝した。
「じゃー俺帰るわ。ごちそーさま」
「寄り道すんなよ」
「おー。今度手作り弁当の彼女紹介しろよー」
にやりと笑みを残して、遙音は愉快そうに部屋を出て行った。
「……彼女?」
慣れない単語に、ぽつりと呟いてしまった。