遙音が、バイトしているスーパーで余った惣菜を持ってくることはよくあった。

生徒であるが、遙音に対しては何も取り繕うことはない。

俺が高校生の頃からの知り合いで、素の顔どころか警察に深く関わっていることも知っている。

――関わっていたからこその知り合いとも言える。

「神宮がメシ食ってるって……なに、いきなり料理出来るようになったのか⁉」

遙音に驚愕された。ため息をひとつ。

「ちげーよ。もらった」

「誰に?」

華取咲桜に。

なんて言えるわけがない。今のところ、遙音は隠しておく相手だ。何せ華取の同じ学校の先輩なのだから。

「……知り合い」

「知り合い? んー、神宮だから女出来たってわけじゃないだろ?」

いや、出来た。偽者だけど。