「………いや、人物で言われても……というかそれ、総て女性か?」

「あ、在義父さんと龍生さんと頼もちゃんとすきですよー」

……そう言ってもらえなければ、在義さんは泣いてしまうかもしれない。

継いだ言葉が若干投げやりだったのは、この際気にすまい。

「けど、その人たちに礼をするのも違うと思うな……」

「ほかにすきなのは、紅茶とか蒸し饅頭とかですかね。あ、天霧猫様は大すきですっ」

紅茶と蒸し饅頭。緑茶や洋菓子じゃない辺り、組み合わせが特徴的だ。

天霧猫は小説家で、俺もその名はよく知っていた。

「そうか」

「でも、ほんとに気にしないでくださいね? 私のやりたいことやってるだけですから」

華取が焦ったように手を振った。

「うん、ありがたくいただく」

そう答えると、華取は少し安心したように表情をゆるめた。