しかし華取は華取で、この件にやる気を出してしまっているようだ。
これを無理に辞めさせても、むしろ申し訳なくなる。
そうだなー……。
「何か――華取のすきなものとかあるか?」
「すきなもの、ですか? なんでですか?」
「華取がやってくれることへの礼だ。そう思えば、お互い様だろう?」
こうでもしないと俺は在義さんだけでなく、華取にまで恩義が返せなくなりそうだ。
なんとなくだけど、華取とは対等でいたい。
……そんな感情があって、少し扱いに困る。
「ええと……」
「………」
華取は口元に手を当てて考え始めた。自分から振った話だが、こんな踏み込んだことを訊いてしまってよかっただろうか……。
在義さんに問い詰められても、礼だと言い張ろう。
ぱっと、何か思い至ったらしい華取が笑顔を見せた。
「笑満と桃子母さんと夜々さんとマナさんがすきです」
想定外の答えだった。戸惑うしかねえ。