振り向く華取に、刹那、これは言ってもいいのだろうか悩んだ。
だが、考えるより口をついてしまった。
「いつになるかわからないけど、弁当の礼がしたい。何か考えておいてくれないか?」
「えっ、い、いいですよ? 私がすきでやってることなんですから」
「それこそ俺の気が収まらん。……愛子に言われたんじゃないか?」
そう問うと、華取はしまったというように顔をゆがめた。
「やっぱりか。愛子の頼みだったら断りにくいよな」
「べ、別に私、マナさんに弱み握られてるとかじゃないですよっ? マナさんに提案されて、私がやりますって言っただけで――」
「それでも、愛子がけしかけた話だろう?」
「……私がやりますって言ったことです」
……案外頑固だな。こういうところ、表への出し方は違うけど、在義さんに似てるって思う。