「料理はすきですから負担なんかじゃないです。私は先生に護られているという状況ですから、そのお礼みたいなものだと思ってください。毎日持ってきます」
「だからそれはもう気にしなくていい――」
護られてるとかそういう話はもう終わりで――、そう言おうとしたら、華取の方が先に口を動かした。
「気にしているわけではないです。私の気が収まらないだけで。だから先生は私のわがままを押し付けられているだけです。いらなかったら捨ててください」
……そこまで言われては、もう受け取らないわけにはいかない。昨日の夕飯も美味しかったし。
「……なら、ありがたくいただく」
「はい」
見せる、華が綻んだような笑顔。
普段大人びて見えるだけに、その笑顔に漂う幼さがやっぱり愛らしい。
……昨日から俺の頭の中は花でも咲いたか? 変な単語ばっかり浮かぶ。
「明日も来ていいですか?」
「俺は構わないけど……松生たちはいいのか?」
「笑満にはこれから話しておきますし、頼は最近落ち着いているんで大丈夫です。疑われないように来ますから」
「……わかった」
「じゃあ、ちゃんと食べてくさいね」
言い残して、華取は資料室を出るために背を向けた。
思わず、俺から呼び止めた。
「はい?」