華取、と、昨日と同じように呼びかけた。

その呼び方を聞いて、華取は軽く息をついた。

「本当に神宮先生だったんですね……」

やはりまだ信じていないようだった。それで今朝のガン見か?

「ああ、すまないことにな」

思わず苦笑してしまう。

「いえ……昨日の件には先生の方をこそ巻き込んでしまったようですから」

華取は言うけど、そんなことは欠片もない。

一か所に属さずフラフラしている俺を繋ぎとめておくために、愛子が色々画策してきたのは今までにもあったことだ。

「いや……それについては、もう言わないことにしよう。お互い謝り続けて変な格好になるから」

お互いが相手を巻き込んだと負い目を感じているのはおかしな状況だ。利害は一致しているのだから。

「……わかりました。先生の言ってた詳細って?」