「……!」
う、うわ……。
思いっきり、今度は心臓が跳ねた。
心臓が飛び跳ねたのは、今まで知らなかった先生の裏の顔を知ってしまった所為だ。それで驚いた所為だよ。
……でなければ、私を見た神宮先生が、少し意地悪そうな、でも優しい瞳を向ける意味がない。
それは『神宮先生』の顔じゃない。神宮先生には見たことのない微笑。
や、ヤバい……これ以上先生の観察は心臓に悪い……。
私はドクドクする心臓を押さえるようにして、慌てて笑満に並んだ。
――私がこんな状態になっているその原因。
どうして休日に私が本性の神宮先生と逢うはめになったかというと、在義父さんの元相棒であり、私の母親代わりの一人でもある春芽愛子さん――私はマナさんと呼んでいる――という後輩刑事の策略のせいだったのだ。
マナさんは、歩く地雷原と呼ばれているそうだ。私も納得するあだ名だ。