「マナさんが言うには、結果的に私と先生の双方で利害一致してますから、私もそれで納得しましたし。……心配なのは、この話が先生の結婚とかの障害にならないか、なんですけど……」

見上げると、先生は眉根を寄せた。

……不愉快にさせてしまったかな。ちょっと不安に思っていると、先生は断言した。

「ならない。そういう面倒なことに自分から踏み入る気はないからな。だから俺の方の心配はしなくていい」

結婚を面倒と言い切った。

……ふーん? 彼女とかいないのかな。あ、いたらマナさんはこんなことは頼まないか。

「そうですか? なら、いいんですけど」

私は少しほっとしたように息を吐いた。

……ん? 何にほっとしただろ。

「あ、あと、マナさんから先生のスマホの番号とか教えてもらったんですけど、大丈夫ですか?」

「そのくらい構わない。愛子対策で連絡も必要になるだろうしな」

愛子対策。その言い方に、少し笑ってしまった。

マナさんの破壊力はよく知っておいでのようだ。

「お口に合うといいんですけど」