私は、髪は長い方だと思う。

短くてバサバサしながらマメに切らないといけないより、伸ばして括った方が動きやすいという持論がある。

……しかし今日の格好を褒められても困ってしまう。

「これは……気絶させられている間にやられました……」

「あら。もしかしてお師匠?」

「たぶん。裏山逃げてる途中から記憶が飛んでるので」

「本当にお元気ねー」

その根本の原因を作った張本人は、あっけらかんと笑う。

これがマナさんだ。

しばらく私の髪をいじっていた手が、ふと下りる。

「……咲桜ちゃんに、一つお願いしてもいいかしら」

「? なんですか?」

「流夜くんのことなんだけどね、あたしの目的っていうか――咲桜ちゃんの相手を流夜くんにした理由の一つでもあるんだけど」

「………」

ごくり、と息を呑んだ。マナさんの口から何が聞かされるのだろう。

私だけに話すなんてこれは、先生たちには聞かせられない話なのか――。