「まあ、面白そうなのも本当だけど、咲桜ちゃんの母親代わりの一人として、咲桜ちゃんの相手を見定める義務もあると思ってるからね。夜々ちゃんも同じこと考えてると思うわー」
「………それは、ありがとうございます……」
私は小さく頭を下げた。
マナさんと、お隣の家のおねえさんの夜々子さんには本当にお世話になっている。
在義父さんの両親も早くに亡くなっているため、私に家族というものは在義父さんしかいなかった。
忙しい職に就く在義父さんに代わって育ててくれたのが、夜々さんとその母である武道の師匠、そして私が生まれる前は在義父さんの部下であり相棒だったマナさんだった。
愛情をたくさんもらった。
母さんが亡くなっていることに引け目など感じないほどに。
お礼に気を良くしたのか、マナさんは私の髪に手を伸ばしてきた。
「今日の格好も可愛いわ。髪も綺麗に結い上げて」