というのも、私が昨日出逢った『神宮流夜』先生は、言葉は乱雑だし目つきは鋭いし他人に向かって一輪挿しを投げるし、トドメに県警本部長である私の父を師事する犯罪学者、だったのだ。
色々とクエスチョンマークだよね。
そりゃあ私は、在義父さんの仕事には踏み入るなって育てられたから、知らなかったのかもだけど……。
私の父、華取在義父さんは、元は警視庁勤務、キャリアのホープだったらしい。
それがある理由により警視庁を退庁。
地元である千葉県警に入ったのだ。
そして今は県警トップである本部長を務めている。
私はその一人娘で、桃子母さんは私が三歳の頃に亡くなっている。
笑満に連れられて教室へ戻る前に、もう一度『神宮先生』を見てみた。
「………」
何度見ても、あの怜悧な眼差しをする昨日の超イケメンが、のほほんを体現したような神宮先生だとは……思えない。
と思っていたら、ふと先生と視線が合った。