「先輩、流夜くんが乗り気なんて珍しいことですよ。素直に受け取っておいて損はないですよ」
「しかし……」
まだ何かを言いたげな在義父さんだったが、ふと私を見て口元に力を入れた。
「咲桜ももう嫁に行ける年なのか……」
「何言ってんだよ親父殿」
項垂れて深く息を吐く在義父さん。今度はなんだ。私まだ十五なんだが。
「いや……咲桜、春芽くんが言ったことは本当なんだ。私の立居振る舞いが悪かった所為で、お前にまで面倒をかけてしまうという心配はあった」
「………」
本当だった。いくら在義父さんの娘という立場だからと言っても、乱暴なだけの小娘にそんな価値があるなんて思えないけどなあ。
「流夜くん――本当に甘えてしまっていいのかい?」
「勿論です。言ったでしょう、保護者的意味でなら見守りたい、と」
「咲桜、お前は? 今、彼氏だったりすきな人がいたりはしないのか?」
「当り前のようにいないけど。……マナさん、これが神宮先生の邪魔になったりは、しないんですか?」