「在義さん――言い方はおかしいかもしれませんが、愛子が勧める意味も、在義さんが断り切れない理由もわかります。と言っても、やはり教師生徒の関係ですから、婚約だの付き合うだのにはなりませんが、保護者的意味でしたら、華取さんを見守っていけたらと思います」
うまくまとめたなー、と感心する。
確かにこれなら断ってもいないけど、今後のマナさんの干渉を最小限に食い止められそうだ。
「あらあ、流夜くんも咲桜ちゃん気に入ったのねー」
マナさんは満足げな笑顔を見せる。そういう意味ではないよマナさん。利害一致の紳士協定だぜ。なんて言えないけど。
……まあ、誤解してくれるならそれはそれでいいか。そろりと先生を見る。先生もそう思っているらしく、否定はしなかった。
「そういうわけだ、愛子。この席のことは口外無用。そんで、しばらくは華取さんの保護者になるから見合いだののたまうなよ。華取さんに対しても」
どういうわけだ。マナさんの前言への肯定でないことはわかるけど、総括的意味だろうか。本当に誤魔化してきてるよ、先生。有耶無耶だよ。