小躍りでもしそうな愛子。こいつは通常でテンション高ぇんだよな……。俺はカウンターの中に入った。

在義は軽く息を吐いて、今度こそ顔を変える。……流夜が仕事場で顔を変える術は、在義から吸収したんだろうな。流夜たち三人は、在義のことも慕いまくっている。

「邪魔したな」

「おー。次はおめーの名前で愛子呼べよ」

「……そしたら愛子来ないだろう」

「当然じゃないですか。あたしいじめられる趣味ありませんもん」

からっと言い切る愛子。……愛子はいじめるというか嫌がらせをする方だからなあ。しかも陰湿な。

「在義。……今度は娘ちゃん連れて来いよ」

「……そうするよ」

猫の鈴の音と一緒に扉が閉まる。在義の消えた店内は静かな空気だった。

……在義と愛子だけが騒いでいたのだ。