彼氏なんていないから。

そればかりは私からしか訂正出来ないことだからしようとしたのだけど、それより早くマナさんが継いだ。

「だったら、先輩もよーく知っている流夜くんに任せた方が安心じゃないですか?」

「っ……」

今度は言葉に詰まっている在義父さん。納得しかけてんなよ親父殿。

在義父さんは娘から見ても、毎度マナさんには言いくるめられている気がする。

「た、確かに……っ」

いやどこも確かに性はない、と言おうとしたけど、ふと先生の視線を感じて口を結んだ。

窺うと、私を見るその瞳はやはり何も言うなと伝えているようだった。だ、黙ってよかった……。

「正直言って流夜くんなら咲桜を任せられるとは思うけど、同じ学校の教師と生徒はまずいとも思うんだ……」

在義父さんの中での先生の評価がやたら高かった。

先生は先生で在義父さんを尊敬しているようなことを言っていたけど、本当に刑事と専門家という関係だけなのだろうか。……気になる。

在義父さんが言いくるめられたのを見かねてかタイミングを見計らってか、先生が口を開いた。