在義に目をかけていた上層部はブチ切れ。
それこそ自分の娘との縁組を考えている奴もいたくらいだ。
結局在義は、警視庁は辞め、隣の県警に移った。
若干――かなり無理矢理だったが、在義も納得したことで配属が決定された。
同時期に退職した俺にも同じように声はかかっていたが、俺は警視庁でやること、ではなく、警察でやることを終えたと感じていたので誘いには乗らなかった。
代わりに、在義の家から一番近く、都会と田舎が入り混じって勝手のいい上総警察署の近くに店を持った。
同業者である探偵たちが使える場所として。
在義が娘に店を訪れるのをゆるさなかったのは、ただの喫茶店ではないからだ。
下手をしたら、事件に巻き込まれてしまうかもしれないと危惧していた。
そこを流夜が連れてきてしまった。
知った在義は「まじかー」と頭を抱えていたが、流夜が娘ちゃんを危険から護ると宣言したので、出入り禁止は解除した。
現在、俺に伴侶はない。好いた人がいないわけではないが。
在義の一つ空けた隣に腰かけて、睨みつけてやる。