「じゃなくて。話したいこととか、泣きたいこととか、あったらおいで。さっきの距離を俺にくれるんなら、なんだって聞いてやるから」 「………」 ぽかんとした咲桜の顔。しばし真正面から見つめていると、急に火を噴いたみたいに紅くなった。 「あ、ありがとう……」 消え入りそうな声で礼を言われ、いつものように咲桜の頭を撫でた。 恋人が出来るまで。 この距離に、誰も近づけないでほしいと思ってしまうのは……少々危ないだろうか。