「……流夜くん?」
咲桜の心の声を聞いたのは何度目だろう。
聞くたびに咲桜の抱えるものを知って、放っておけなくなる。
過去にあった自分に近いからかもしれない。
俺自身、奪われてきたものは計り知れない。
手の中にあったはずのものも、ないものとして生きなければならなかった。
その辛さも淋しさも、咲桜に近い位置でわかると思う。
だから、自分の腕の中に置いておきたくなる。
大丈夫だって。ここにいていい、って。……ここにいてほしい、って。俺がそう望むんだ、て。
「咲桜、今のは駄目だ。どうしても」
「……どれ?」
「自分を嫌いって言ったのは、俺がゆるさない」
「……きらいなんだもん」
子供っぽい喋り方。