出逢ってから初めて見せる笑顔。

その笑い方も、神宮先生の頼りないものとは違っていた。

なんだかすごく、大きな存在に感じられた。

「じゃあ華取、さっき話した通りにな。他のことは言わなくていいから」

「わかりました」

神妙な顔で肯き合う。これから神宮先生と二人で、あのマナさんを騙すのだ。ついでに在義父さんも。



「はっ? 咲桜の学校だったのか?」

同じ学校の生徒と教師だって神宮先生がばらすと、マナさんよりも在義父さんの方が驚いていた。

そして、「あー、そっか。流夜くんも藤城だったかー」と呟いている。

「はい。なので、正直言ってこういう座にあることも問題なのですが」

在義父さんの隣で、私は口を引き結んでいた。

下手なことは言うなという先生の教えを貫くのだ。

先生は頭がいい。私なんかより何手先も、何十手先も読んでいる。

ならばここは先生に任せるのが最善だと思う。

「……春芽くん」

在義父さんがマナさんを睥睨する。

マナさんがそんな些細な情報、知らないわけがないのだ。

案の定マナさんは、にっこり艶やかな笑みを見せた。