なんか、咲桜と偽だけど婚約した、とバレたこととは違う方向に危ない気がする。

在義さんも大概娘バカだが、朝間先生は完全な親バカのようだ。

朝間先生はふうとため息を吐いた。

「在義兄さんの言いつけですからね、神宮先生が学外でしていることを学校で言いふらしたりはしません。婚約の話も口外しません。でも、私が反対していることはお忘れなく」

そう言って見せたのは、いつも学校で見せる微笑だった。

「度が過ぎたことをすれば薙刀(なぎなた)持って乗り込みますから」

「夜々さん、私の言い分も聞いて」

咲桜が、真剣な響きで入って来た。

「マナさんからどこまで聞いてるかわからないけど、私だって本気です。冗談なんかで言いません。もし夜々さんが反対するなら、私が流夜くんを護ります」

「………」

凛然とした宣言に、抱きしめたくなる衝動を必死に押し殺した。本当にそういうとこ男らしいな……。でも、咲桜はどうしたって可愛い女の子だ。

「朝間先生。咲桜の害になることはしません。それは誓えます」