「これを見ると、咲桜と心中しようとしたみたいに見えるけど、桃が亡くなったときと、咲桜が意識を失ったときというのは、大分日数が離れているんだ。咲桜は幼いゆえの混乱もあって、自分が意識をなくした直後に桃が亡くなったように思っているみたいだけど、そうではないんだ。桃は……老衰のような亡くなり方だった」
「……老衰? ですか?」
「これといった病気ではないんだけど、身体が――とくに内臓がね、限界だったんだ。若かったけど、生き切って、自然に亡くなった。その日は私も非番で家にいて、咲桜は桃の膝で寝ていて、すうっと眠るように、心臓が止まった。……咲桜はその後に目を覚ましたから、時間感覚をずれて認識してしまっているんだろう」
「……そうですか。最期まで、在義さんが傍にいてくださったんですね」
「………」
「桃子さんが在義さんを慕っているのはよく見えました。咲桜も。この言い方もおかしいかもしれませんが……少し、安心しました」
在義さんがぽつりと呟いた。