流夜くんは私を見下ろして、口元を緩めた。


「私、なんて言ったのか知りたい。お願い教えて」

口を開いた流夜くんを遮って、言い募った。

自分はどんな思いを流夜くんに打ち明けたのだろうか。知らなくていけない気がした。

「………」

真っ直ぐに見上げていると、流夜くんは観念したように軽く息を吐いた。

「俺が、家族がいないって話した。そしたら、咲桜が「自分が家族になるから」って言ってくれた。それだけだよ」

「え……」

「な? 忘れてた方がよかっただろ」

流夜くんは私の頭に手を置いて、雑に掻きまわす。私は目が点になった。そんな……ことを⁉

「言ったの⁉」

「俺の幻聴か妄想でなければ」

「マジメな顔でそういうこと言わないで!」

どういう事態だ。

私が顔を紅くさせたり蒼くさせたりしていると、流夜くんは嘆息して腕を組んだ。