「……もし本当にそうなら、淋しかったのは、咲桜が自分で言ったことを憶えてなかったからだと思う。その前のことで、淋しいことなんてない」
「……私、なに言ったの……?」
「……今は気にしなくていい」
ふいっと、流夜くんはそっぽを向いてしまった。そ、そんな言いたくないようなことを言ったの⁉
「別に悪いことを言われたわけじゃない。だから、気にしなくていい」
「………」
――そこで下がったら、私ではなかった。在義父さんの娘ではなかった。
私に背中を向けようとする流夜くんの腕を摑んだ。右腕。――あれ?
「わ、わたし――」
が、
言葉が頭から飛び出しそうだ。けれど、明確ではない。