「なにしたって……」

「別に咎めるわけじゃないですよ。ただ、咲桜が憶えてなくて不安そうだったから訊きにきただけです。あたしに隠し立てするようなことがなければいいんです。あ、別にあたしに隠し立てすることがあっても、咲桜が納得するんならいいですけど」

ね? と微笑んで見せた笑満。私が納得するんならいいのか。

「……わかった。咲桜に説明するから、松生は下がってもらってもいいか?」

「どこまで下がればいいですか? 教室の外? それとも自分のクラス?」

ここで教室の外、と答えたら、まあ盗み聞かれるんだろうな、と私もわかった。

流夜くんもそこまでは見当がついているようで、苦い顔をした。

「出来ればクラスで待っていてくれ。本鈴までには帰すから」

「あたしに隠し立てたいことをしたんですね」

鋭い一言に、反射的に私の肩がびくっと震えた。ま、まさか……? 不安になる私の視線を受けてか、流夜くんは一度瞼を伏せた。

「そういうわけだ。頼まれてくれるか」

「……咲桜、頑張ってね」