「愛子たちが戻ったら、同じ学校の生徒と教師だって言う。けど、あいつがそれで退くと思うか?」

「思わないです」

むしろ楽しむと思う。あの人は。「そのくらい禁断の方がスリルあって楽しいじゃない」とか。ものすごくいい笑顔で言いそう。

神宮先生も同じことは想定しているようだ。続ける。

「だろ? だから、立場上正式な婚約とかは無理だけど、断固断ることもしなければいい。俺に任せておけ。お前はただ、今回の話を断らないのと、けれど正式には受けないっていう二点だけ言ってくれればいい。あとは俺が誤魔化す」

「えと……それではなんだろう、私は神宮先生の腕を折る必要もないのかな?」

「ねえよ。物騒な考えはやめろ」

「……先生、ちょっと待って。あまりに言葉が神宮先生じゃなさ過ぎて対応出来ない……」

私は今更だけど、額に手を当てた。

あの神宮先生がこんな言葉遣いをするなんて……。

特別懐いていたというわけではないけど、嫌な話も聞かないし嫌な気分になる対応もしないし、授業はわかりやすいと評判はいい先生だったから、この落差というか……衝撃が収まらない。

「……わかった。学校で話しているように話せばいいのか?」