私は顔を隠したままなので、笑満がどんな風ににやにやしているかはわからない。にやにやしていることはわかるけど。
「ええと……発作を落ち着けるため、だと。……流夜くんからです」
「それで落ち着いたんだ? 流夜くんすごいね」
「うん……」
少しだけ肯く。
笑満も、私の発作を目の当たりにしたことはある。
その折は、対処法を知るお隣のお姉さんを呼びに行ったり、結構迷惑をかけてしまった。それが抱きしめられて収まってしまうとは。
……流夜くん、ほんとに何モノだ? そして笑満も『流夜くん』って呼ぶのか。
「あたしも流夜くんに師事しようかなー」
な、なんの弟子入りをする気だ? 私はまだ恥ずかしさが引かなくて、顔を隠していた。
「それで――抱きしめられていて、寝ちゃった、と?」
「そこまでしか憶えてない……」