「流夜くんは私のことまで抱え込んじゃったじゃん。私だけ、一人分の問題でいいっていうのは、やだ」

仲間外れは嫌、みたいな、子供っぽい内容かもしれない。

それでも、咲桜が俺に対してそう思ってくれることが、やっぱり嬉しい。

「……わかった。確かに、咲桜の方だけ聞くのはフェアじゃないか」

観念して、目線を落とした。

咲桜は強くこちらを見て来て、片方だけ繋いでいた手にもう片方も添えた。それに少しびっくりした俺は目線を咲桜に戻した。

観念した、というよりも、諦めがついた。そして、勇気をもらった、そんな気がした。

こんなことを話すのは、本当に勇気がいるから。……いくら俺でも。

「……俺な、家族がいないんだ」

「………」

「俺が赤ん坊の頃、殺された」