はたと気づくと、隣の部屋との扉を開けて、咲桜がこちらを見ていた。
……起こしてしまったか。急いで降渡に言う。
「降渡、悪い。続きはまた今度でもいいか?」
『おう? いーよいーよ。大分もらったし。じゃーなー。オヤスミー』
切るときまで軽快だった。俺もスマホを机に置く。
「ごめん、うるさかったか?」
「いえ……すみません、私こそお電話邪魔しちゃって……」
「そろそろ切り上げたかったからちょうどよかったよ」
俺が言っても、咲桜は困ったように視線を彷徨わせている。
ローソファは横になれるように二人掛け用で、空いている自分の隣を叩いた。
「おいで」
呼ぶと、咲桜はちょこちょこした足取りで隣まで来た。
手を差し出すと、自分の手をそっと重ねて腰を下ろした。
「のど乾いてたりしないか?」