「そんなことはない。ちょっと気になっただけだ」
「ですか?」
「大丈夫だよ」
肯くと、華取は安心した様子だった。……むー? なんかまたもやっとした。
「先生、お仕事はいいんですか? 見ちゃダメだったら私、壁見てますから」
「普通にしていてくれ」
華取はたまに言動がヘンだ。まあ、華取らしいと言えば……可愛いが。
しかし、私事があったのは事実だ。『仕事』ではなく『私事』の方。
今のところ出歩けそうにないから、華取の提案を受けて今のうちに片付けておくことにする。
華取は学校の仕事だったら見てはいけないと気にしているようだから、教師の仕事はいつも持ち帰っていないことを伝えた。
パソコンを取り出して操作していると、華取は隅っこへ行ってしまった。
そこまで気を遣わなくていいのに……咲桜の一つ年上に、勝手に合鍵作って堂々とメシを盗んでいくガキもいるから余計にそう思う。
「人に見られてまずいものはないから、そう気にしなくて大丈夫だぞ?」