「ありがとう、華取」
礼を言うと、華取が見上げて来た。
「華取が来てくれたおかげだな」
「……なんもしてないですよ?」
「たくさんしてくれたろ。十分すぎるくらいだ」
なんだか華取には、思ったことをそのまま話したくなる。新発見だった。
一方、華取の表情は驚いているようだ。大人びた華取の、たまに見せる幼さが可愛い。
「まだ雨続いてるから、華取も一緒にメシ食ってるか。そのうち止むだろう」
「そうですね。って言っても、おかゆしかないから……ちょっと、作ったおかず持ってきますね」
「悪いな」
華取は、「いえ」と応えて冷蔵庫へ向かった。
……冷蔵庫がまともに機能している。今までは飲み物突っ込んでおくしかしてなかったから、なんか冷蔵庫に申し訳なかったな……。
何度も華取の手料理はいただいているけど、一緒に食事をするのは初めてだ。